私的な旅行でも経費になる【永年勤続者表彰】守るべき要件

こんにちは!東京・三軒茶屋の税理士の岩沢です。

役員・従業員による私的な会社資金の使い込みは認められていません。

会社と役員・従業員は別人だからです。

しかし、ある要件を満たせば、完全プライベートの旅費を会社経費に出来ることはご存知ですか?

今回は、社員に旅行券を配って節税するときの注意点を解説します。

 

目次-Contents-

何も考えずに旅行券を支給すると、税金がかかります

会社は、社員に仕事をしてもらった対価として給料を払っています。

現金に限らず、代わりにお米をもらったり、商品券をもらった場合も給料に含まれます。

給料をもらったときに税金(所得税・住民税)がかかるのですから、

会社から旅行券をもらったときも税金がかかります。

『永年勤続者表彰』として旅行券を支給する

長く会社に勤めた社員に対して記念旅行に招待した場合、

以下の要件を満たせば給与としてみなされて税金が取られることはありません。

(永年勤続者表彰)

税金のかからない永年勤続者表彰

①現金(旅行券含む)の支給ではない

②その旅行代金等が勤続年数などに照らして社会通念上妥当

③おおむね10年以上の勤続者が対象

④前回の支給からおおむね5年以上たっている

所得税基本通達36-21

この中で①と②について、以下のとおり補足します。

 

①現金(旅行券含む)の支給ではない

永年勤続記念旅行を会社からの招待という形ではなく、

「10万円あげるから、好きなところ行っておいて」では、実質的に給与とみなされてしまいます。

これが社員としては一番嬉しいでしょうが…(笑)

ただし、 現金(旅行券)の支給でも以下の要件を満たせば給与としての税金がかかりません。

支給後1年以内に旅行に行く
旅行の範囲が支給した旅行券の額からみて相当
「旅行報告書」(旅行日や旅先等の記録)と「旅行先を確認できる資料」を会社に提出

個別通達昭60.2.21付直6-4「永年勤続記念旅行券の支給に伴う課税上の取扱いについて」

プライベートな旅行を会社に報告、それもレポートまで書かされるなんて…!と思われるかもしれませんが、

こうしないと税金がかかるのですから、どうせなら日記を書くつもりで楽しく書きましょう。

 

②その旅行代金等が勤続年数などに照らして社会通念上妥当

旅行代金が「社会通念上妥当」、つまり常識の範囲内と言われても、あまりよく分かりません。

2006年と少し古いですが、

産労総合研究所というところが永年勤続表彰制度に関する世間の会社の実施状況を公表しています。

永年勤続表彰制度に関する調査 – 産労総合研究所

「社会通念上相当」な金額がどれぐらいか、参考になると思います。

永年勤続者表彰による支給額の相場
  • 勤続5年:1.6万円
  • 勤続10年:3.6万円
  • 勤続15年:3.7万円
  • 勤続20年:7.5万円
  • 勤続25年:7.1万円
  • 勤続30年:13.2万円
  • 勤続35年:8.5万円
  • 勤続40年:11.1万円

(永年勤続表彰制度に関する調査 – 産労総合研究所)

この表の金額と同水準であれば、「社会通念上相当な金額」という条件はクリアすると思われます。

なお場所は問われていないので、海外も許容されると考えられます。

税務調査で指摘されたら、どうやって追加で税金がかかる?

源泉所得税の納付漏れということになる

通常、会社は従業員への給料の支払いのときに所得税を天引きし(源泉徴収)、

翌月10日までに税務署に納付しなければなりません。

これは給料だけでなく、『経済的利益』を与えた場合も同じです。

税務調査で過去の旅行券の支給がこの『経済的利益』とみなされた場合、

その当時において源泉徴収した所得税を税務署に支払う必要があったことになります。

なので、源泉所得税の納付が遅れたことによる追加の税金負担が発生します。

基本的な追加の税金は以下の2つです。

不納付加算税

源泉所得税を納付していないことに対する罰金的な税金です。

本来納付するべきだった税金額の10%がかかります。

ただし、税務署から指摘される前に自主的に納付した場合は、5%の負担で済みます。

なお、以下の場合はこの不納付加算税が免除されます。

不納付加算税が免除される要件

①納付の意思はきちんとある。わざと遅らせたわけではない。

②遅れたけど、期限から1か月以内に納付している。

③過去1年間、納付に遅れはない。

④不納付加算税が5,000円未満

 

延滞税

税金を期限内に払わないと、利息的な意味合いの『延滞税』がかかります。

納付期限が2か月までは税率は高くありませんが、それを超えると倍以上の利率になります。

▶納付期限から2か月以内 年利7.3% or 「特例基準割合(注1)+1%」の低い方。

具体的には以下のとおりです。

  • 令和3年1月1日から令和3年12月31日まで:年2.5%
  • 平成31年1月1日から令和2年12月31日まで:年2.6%
  • 平成30年1月1日から平成30年12月31日まで:年2.6%
  • 平成29年1月1日から平成29年12月31日まで:年2.7%

▶納付期限から2か月超 年14.6%と「特例基準割合(注1)+7.3%」の低い方。

具体的には以下のとおりです。

  • 令和3年1月1日から令和3年12月31日まで:年8.8%
  • 平成31年1月1日から令和2年12月31日まで:年8.9%
  • 平成30年1月1日から平成30年12月31日まで:年8.9%
  • 平成29年1月1日から平成29年12月31日まで:年9.0%

カードローンほどとは行かなくても、けっこう高利でビックリですよね。

なお、ウソや不正行為で脱税をした場合などを除いて、修正申告書等を提出していれば、延滞税は最長1年分で済みます。

まとめ

今回は、社員に旅行券を配って節税するときの注意点を解説しました。

私も税務顧問業をしていて、

社員の旅行代を税金なしで支給する方法はないかとご相談を受けることがとても多いです。

そんなときに活用できるのが、今回ご紹介した『永年勤続表彰制度』。

勤続10年以上と、スタートアップには先の話ですが、

それまでの会社の発展に寄与してくれた社員に対する慰労の気持ちを大切にしたいですね。


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税理士とのコミュニケーション不足は、記帳内容がぐちゃぐちゃになり、

誤った経理処理となる要因となります。

その結果、3~5年周期の税務調査において指摘の対象となり、

最大40%の追徴課税(追加で税金が取られてしまうこと)のリスクが高まります。

無駄な税金を払わないためには、常日頃、経理処理や経営環境などについて税理士と共有し、

追徴課税リスクへの対応策を早期に講じることが大切です。

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代表/岩沢将志税理士

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税理士業と並行して、パーソナルジムも運営。
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