源泉税とは?計算・納税方法を解説【国内・個人事業主編】

こんにちは!東京・三軒茶屋の税理士の岩沢です。

「額面30万円のはずなのに、源泉所得税とかいうやつに3万円も取られてる!」

とは思わないかもしれませんが(笑)、

「よく分からない税金が天引きされてるなあ」とは思う人が多いのではないでしょうか。

もちろん勝手に会社が天引きしているわけではなくて、式に基づいて計算しています。

今回は、国内の個人事業主に対する支払いのときに天引きする『源泉(所得)税』について、解説します。

源泉(所得)税とは?

源泉税は、役員報酬や従業員への給料、個人事業主への支払いの際にあらかじめ天引きする所得税です。

そのため、『源泉所得税』ともいいます。

天引きした源泉税はもちろん会社のものではないので、

決まった期日までに税務署に代わりに納税してあげる必要があります。

計算方法は大きく2つに分かれます。

役員や従業員に給料・賞与を支給するときの「源泉徴収税額表」に基づく計算
個人事業主に報酬を支払うときの税率計算(主に10.21%)

今回の記事は、個人事業主への支払いのときの源泉税の計算・納税方法を主に解説します。

なお、個人であればどんな相手・取引内容でも源泉税を天引きしなければならないわけではありません。

源泉徴収するべき取引内容

個人事業主に対して報酬を支払う際に源泉徴収が必要となります。

法人に対して報酬を支払う際は、基本的に源泉徴収する必要はありません。

以下のような取引・相手であれば源泉徴収が必要です。

源泉徴収が必要な取引・相手
  1. 記事の原稿料や講演で話をした報酬
  2. 弁護士・公認会計士・税理士・司法書士
  3. 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  4. プロスポーツ選手・モデル・保険外交員・営業の外注社員
  5. コンパニオン・ホステス
  6. プロ野球選手の契約金など、専属契約にあたって支払う契約金
  7. 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

 

詳しく内容を見ていきましょう。

1.記事の原稿料や講演で話をした報酬

謝金・取材費・調査費・車代などの名目で支払をする場合でも、実態が原稿料や講演料と同じ場合には、すべて源泉徴収が必要です。

源泉徴収しなくてよい内容の報酬

遠方に取材に行ってもらいたいとき、交通費や宿泊費は依頼者負担であることが多いと思います。

そのような旅費も原則的には源泉徴収が必要ですが、その旅費が通常必要な範囲の金額で(豪華でなければ)、

支払者(依頼者)がホテルや旅行会社に直接その旅費を支払ったのであれば、

その旅費については源泉徴収の計算には含めないでよいことになっています。

一人に対して支払う報酬が1回5万円以下のうち、

・懸賞応募作品などの入選者に対する賞金

・新聞、雑誌などの投稿欄への投稿の謝金など

③試験問題の出題料や答案の採点料

 

源泉徴収税率
報酬×10.21%(報酬が100万円超部分は、20.42%)

 

10.21%を乗じる報酬は税込みが原則ですが、

請求書等において税抜き金額を明示している場合は、税抜き金額に対してだけ源泉徴収すれば大丈夫です。

 

源泉税はいつ納税する?

先方に報酬を支払った翌月10日までに、所轄の税務署に納付します。

納期の特例の対象(半年に一回の納税でいい制度)ではありません。

 

2.弁護士・公認会計士・税理士・司法書士

謝金、調査費、日当、旅費などの名目でも源泉徴収する必要があります。

 

源泉徴収しなくてよい内容の報酬

①遠方に取材に行ってもらいたいとき、交通費や宿泊費は依頼者負担であることが多いと思います。

そのような旅費も原則的には源泉徴収が必要ですが、その旅費が通常必要な範囲の金額で(豪華でなければ)、

支払者(依頼者)がホテルや旅行会社に直接その旅費を支払ったのであれば、

その旅費については源泉徴収の計算には含めないでよいことになっています。

②弁護士からの請求に含まれている報酬のうち登録免許税など、支払者が本来支払うべき税金や手数料

行政書士に対する報酬

 

源泉徴収税率
報酬×10.21%(報酬が100万円超部分は、20.42%)

 

10.21%を乗じる報酬は税込みが原則ですが、

請求書等において税抜き金額を明示している場合は、税抜き金額に対してだけ源泉徴収すれば大丈夫です。

ただし司法書士に対する支払いの時は、『報酬マイナス1万円』に上記の税率をかけます。

同じ士業でも、行政書士に対する支払いの際は、源泉徴収は不要です。

 

源泉税はいつ納税する?

先方に報酬を支払った翌月10日までに、所轄の税務署に納付します。

納期の特例の対象となる取引なので、半年に1回の納税で大丈夫です。

ただし事前の手続きが必要。申請書類等、後ほどご案内します。

 

4.外交員

保険の外交員や営業の外注社員、集金人、電力量計の検針人などが含まれます。

 

源泉徴収税率
(報酬マイナス12万円/月)×10.21%

 

10.21%を乗じる報酬は税込みが原則ですが、

請求書等において税抜き金額を明示している場合は、税抜き金額に対してだけ源泉徴収すれば大丈夫です。

 

源泉税はいつ納税する?

先方に報酬を支払った翌月10日までに、所轄の税務署に納付します。

納期の特例の対象(半年に一回の納税でいい制度)ではありません。

 

5.コンパニオン・ホステス

報奨金や衣装代、深夜帰宅するためにタクシー代などを支払うとき、源泉徴収が必要です。

なお、ここで解説しているのは「個人事業主として働く人」です。

従業員としてバーなどに雇われている場合は「源泉徴収税額表」に基づく計算が必要です。次回の記事をご参照ください。

 

源泉徴収税率
(報酬マイナス5,000円×計算期間日数※)×10.21%

 

※「計算期間日数」はお店の営業日数やホステスの出勤日数ではありません。

3月分の報酬なら31日、4月分の報酬なら30日がそれぞれの「計算期間日数」です。

例)3月(1日~31日)の報奨金:75万円 営業日数:25日

⇒【75万円-(5,000円×31日)】×10.21%=60,749円:源泉徴収(天引き)する所得税

 

源泉税はいつ納税する?

先方に報酬を支払った翌月10日までに、所轄の税務署に納付します。

納期の特例の対象(半年に一回の納税でいい制度)ではありません。

 

6.専属契約にあたって支払う契約金

個人と専属契約等を結び、契約金を支払うときは、源泉徴収が必要です。

例えば、プロ野球選手やホステスなどの契約金を支払う場合です。

専属契約(一定の者のために役務を提供し、またはそれ以外の者のために役務を提供しないことを約束)することにより

一時に支払われるすべてのものをいい、仕度金や移転料などの名目で支払われるものも含まれます。

給与所得者は次回の記事で解説する通り、別枠で源泉税を計算しますが、

雇用契約を結ぶときに契約金を支払う場合には、給与所得ではなくここでいう契約金として源泉徴収をしなければなりません。

ただし、就職に伴う転居のための旅費に該当するもので、他の契約金と明確に区分して支払われるものは、源泉徴収の対象にはなりません。

 

源泉徴収税率
報酬×10.21%(報酬が100万円超部分は、20.42%

 

源泉税はいつ納税する?

先方に報酬を支払った翌月10日までに、所轄の税務署に納付します。

納期の特例の対象(半年に一回の納税でいい制度)ではありません。

天引きした源泉税はどのように納付する?

これまで解説してきたように、個人事業主への報酬の支払いのときは源泉税を天引きしますが、

その翌月10日までに所轄の税務署に納税しなければなりません。

納付方法は以下の3つがあります。

 

納付書

税務署から送られてくる納付書(所得税徴収高計算書)を使用して、

コンビニや銀行、税務署の窓口で納付する方法です。最も一般的かもしれません。

 

eTax

インターネット上で税金の手続き・納付が出来ます。

預金口座からの振替(ダイレクト納付)やインターネットバンキング、ATMからの納付が選べます。

ダイレクト納付には、事前に税務署への利用届の提出が必要です。

⇒国税庁HP ダイレクト納付

 

クレジットカード

国税クレジットカードお支払サイトから納税手続きをします。

ダイレクト納付のような事前登録は不要です。

決済手数料がかかってしまうのがデメリットです。

納付税額 決済手数料(税込み)
1~10,000円 83円
10,001円~20,000円 167円
20,001円~30,000円 250円
30,001円~40,000円 334円
40,001円~50,000円 418円
50,001円~ 以降1万円超ごとに加算

 

源泉税の支払いを半年に1回にするには?

給与の支給人員が常時10人未満の会社・個人事業主は、半年分まとめて納付できる『納期の特例』が認められています。

 

この特例の対象

・給与や賞与、退職金

・弁護士、税理士、司法書士などへの報酬

 

納付期限

1~6月源泉徴収分:7月10日

7~12月源泉徴収分:翌1月20日

 

事前提出書類

この特例を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することが必要です。

税務署長から納期の特例の申請について却下の通知がない限り、

申請書を提出した月の翌月に源泉徴収する分から、納期の特例の対象になります。

例)納期の特例申請書を提出した月が2月中の場合

・2月支給の給与:3月10日が納期限

・3~6月支給の給与:7月10日が期限(特例の対象になる)

 

※給与の支給人員が常時10人以上となり、源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなった場合は、

「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出して、

原則通り毎月源泉税を納付しなければなりません。

源泉税の納付が漏れていた&遅れた場合はどうなる?

源泉税を期限通りに納付できていないことに対する基本的な追加の税金は以下の2つです。

 

不納付加算税

源泉所得税を納付していないことに対する罰金的な税金です。

本来納付するべきだった税金額の10%がかかります。

ただし、税務署から指摘される前に自主的に納付した場合は、5%の負担で済みます。

なお、以下の場合はこの不納付加算税が免除されます。

不納付加算税がかからない要件

①納付の意思はきちんとある。わざと遅らせたわけではない。

②遅れたけど、期限から1か月以内に納付している。

③過去1年間、納付に遅れはない。

④不納付加算税が5,000円未満

 

延滞税

税金を期限内に払わないと、利息的な意味合いの『延滞税』がかかります。

納付期限が2か月までは税率は高くありませんが、それを超えると倍以上の利率になります。

▶納付期限から2か月以内 年利7.3% or 「特例基準割合(注1)+1%」の低い方。

具体的には以下のとおりです。

  • 令和3年1月1日から令和3年12月31日まで:年2.5%
  • 平成31年1月1日から令和2年12月31日まで:年2.6%
  • 平成30年1月1日から平成30年12月31日まで:年2.6%
  • 平成29年1月1日から平成29年12月31日まで:年2.7%

▶納付期限から2か月超 年14.6%と「特例基準割合(注1)+7.3%」の低い方。

具体的には以下のとおりです。

  • 令和3年1月1日から令和3年12月31日まで:年8.8%
  • 平成31年1月1日から令和2年12月31日まで:年8.9%
  • 平成30年1月1日から平成30年12月31日まで:年8.9%
  • 平成29年1月1日から平成29年12月31日まで:年9.0%

カードローンほどとは行かなくても、けっこう高利でビックリですよね。

なお、ウソや不正行為で脱税をした場合などを除いて、修正申告書等を提出していれば、延滞税は最長1年分で済みます。

まとめ

今回は、国内の個人事業主に対する支払いのときに天引きする『源泉(所得)税』について、

対象となる相手や取引、計算方法や納付方法を紹介しました。

源泉徴収が必要な取引だと知らずに、額面そのままを支払っているケースも少なくありません。

その場合は報酬の支払者に追加の税金負担が発生してしまいます。

しっかり準備して漏れのないようにしておきましょう。


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税理士とのコミュニケーション不足は、記帳内容がぐちゃぐちゃになり、

誤った経理処理となる要因となります。

その結果、3~5年周期の税務調査において指摘の対象となり、

最大40%の追徴課税(追加で税金が取られてしまうこと)のリスクが高まります。

無駄な税金を払わないためには、常日頃、経理処理や経営環境などについて税理士と共有し、

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Masashi Iwasawa

Certified Accountant / Business Advisor / Taxation Consultant based in Tokyo.
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