食事補助に税金がかからない支給方法

こんにちは!東京・三軒茶屋の税理士の岩沢です。

従業員をお昼に誘ったり、出前をとって皆で昼食を食べたりといったことがあると思います。

会社のために働いてくれているわけですから、たまには会社の負担でお昼をご馳走したい、

もしくは常日頃から毎日のお昼代をカバーしてあげたいといった経営者も少なくないと思います。

でも、やり方を誤ってしまうとお昼をご馳走してもらった従業員の方で税金がかかってしまうことは知っていますか?

今日は、従業員にお昼などの食事代を支給しても税金がかからない方法について解説します。

※資本金1億円以下の中小企業向けの解説です。

目次-Contents-

なぜ食事代の補助に税金がかかるのか

私たちが会社から給料をもらった時は、当たり前ですが税金がかかります。

(所得税や住民税や社会保険料ですが、もらう時に天引きされているので、税金を払っている感覚がない人もいると思います。)

なお給料だけではなく、『経済的利益』を受け取ったときも税金がかかります。

「何かしてもらって得をすれば、それにも税金がかかる」ということです。

給料を削って、その分を食事代として支給したとして、食事代には税金がかからないとなったら不公平ですもんね。

そのような考えで、食事代を補助してもらった時も税金がかかるのです。

税務調査で指摘されたら、どうやって追加で税金がかかる?

源泉所得税の納付漏れということになる

通常、会社は従業員への給料の支払いのときに所得税を天引きし(源泉徴収)、

翌月10日までに税務署に納付しなければなりません。

これは給料だけでなく、『経済的利益』を与えた場合も同じです。

税務調査で過去の食事の支給がこの『経済的利益』とみなされた場合、

その当時において源泉徴収した所得税を税務署に支払う必要があったことになります。

なので、源泉所得税の納付が遅れたことによる追加の税金負担が発生します。

基本的な追加の税金は以下の2つです。

不納付加算税

源泉所得税を納付していないことに対する罰金的な税金です。

本来納付するべきだった税金額の10%がかかります。

ただし、税務署から指摘される前に自主的に納付した場合は、5%の負担で済みます。

なお、以下の場合はこの不納付加算税が免除されます。

 
不納付加算税が免除される要件

①納付の意思はきちんとある。わざと遅らせたわけではない。

②遅れたけど、期限から1か月以内に納付している。

③過去1年間、納付に遅れはない。

④不納付加算税が5,000円未満

 

延滞税

税金を期限内に払わないと、利息的な意味合いの『延滞税』がかかります。

納付期限が2か月までは税率は高くありませんが、それを超えると倍以上の利率になります。

▶納付期限から2か月以内 年利7.3% or 「特例基準割合(注1)+1%」の低い方。

具体的には以下のとおりです。

  • 令和3年1月1日から令和3年12月31日まで:年2.5%
  • 平成31年1月1日から令和2年12月31日まで:年2.6%
  • 平成30年1月1日から平成30年12月31日まで:年2.6%
  • 平成29年1月1日から平成29年12月31日まで:年2.7%

▶納付期限から2か月超 年14.6%と「特例基準割合(注1)+7.3%」の低い方。

具体的には以下のとおりです。

  • 令和3年1月1日から令和3年12月31日まで:年8.8%
  • 平成31年1月1日から令和2年12月31日まで:年8.9%
  • 平成30年1月1日から平成30年12月31日まで:年8.9%
  • 平成29年1月1日から平成29年12月31日まで:年9.0%

カードローンほどとは行かなくても、けっこう高利でビックリですよね。

なお、ウソや不正行為で脱税をした場合などを除いて、修正申告書等を提出していれば、延滞税は最長1年分で済みます。

税金がかからず、従業員に食事の補助をする方法

しかし、福利厚生の観点や会社の業務に必要である場合に、従業員の税金がかからずに食事代を補助する方法があります。

ただし、一定の要件を満たす必要があるので、しっかり準備するようにしましょう。

無税で食事代を補助する方法

①全額会社負担でなく、従業員に食事代の一部を負担してもらう

②【会議費】会議での食事の用意&カフェ等の利用

③【交際費】取引先の接待

④残業した社員への食事の提供

⑤会社企画の会食・慰労会

 
 

では、それぞれ見ていきましょう。

①全額会社負担でなく、従業員に食事代の一部を負担してもらう

会社にお昼のお弁当を出してもらった!と喜んでいても、「半額は負担して」と言われたらちょっと残念ですよね。

でも、これはあなたに税金がかからないように、会社がしてくれている対策なのです。

どういうことでしょうか?

②会議費や③交際費ではない場合、つまり純粋に食事代を補助する場合は、全額を会社が負担してあげてしまうと、

それが従業員に対する給料だとみなされ、従業員の税金が増えてしまうのです。

ただし、以下の条件を守れば、食事代を補助したとしても給料として課税されることはありません。

従業員の負担が半額以上
会社の負担額が月3,500円(税抜き)以下

会社が負担できる食事代が月3,500円までとは、お昼代が1,000円を超す都内では十分といえる金額ではないかもしれませんが。

②【会議費】会議での食事の用意&カフェ等の利用

会議費とは、社内の会議や取引先との打ち合わせなどの際に必要となる経費のことです。

 
会議費の例

・商談のために借りた会場代

・取引先との打ち合わせのためのカフェ代

・社内会議をする際に用意した弁当代、お菓子代など

・取引先の接待のうち、一人5,000円以下の飲食代

このように、業務を行う上で必要だった支出は経費にすることができますが、

あまりにも高額だと交際費もしくは役員・従業員への給料だとみなされて税金が取られてしまいます。

また、いくら取引先と打ち合わせをしたためカフェを利用しましたといっても、

そのレシートがあるだけでは会議としての証拠書類として不十分です。

レシートの余白にでも、相手の名前議題だけでも記載しておきましょう。

議事録を別途作っていればさらに安心です。

③【交際費】取引先の接待

取引先を接待する目的で飲食代を負担したときは、こちら側の役員・従業員分も含めて法人の経費となります。

ただし上述の通り、取引先との飲食代でも一人5,000円以下であれば会議費に区分されます。

会社の交際費に区分された金額が800万円を超える場合、その超えた部分の金額は損金(≒経費)にすることはできません。

※なお個人事業主には、この800万円の上限はありません。

④残業した社員への食事の提供

従業員が就業時間を超えて残業するときや、宿直をしてもらうときに支給する食事は、税金がかかりません。

ただし、一律に千円を支給するなど、給料と変わらない場合は税金がかかります。

食事を会社が買ってきてそのまま与えるか、

従業員が出前を取るかコンビニで買ってきた金額を後日精算するようにしましょう。

「月いくらまで」といった制限はありませんが、

常識から考えて豪華だと判断されれば交際費もしくは従業員への給料ということになります。

⑤会社企画の会食・慰労会

新年会や忘年会など、社内懇親会を行っている会社は多いと思います。

会社として頑張ったのだから、それを労う忘年会などは会社の経費で支払いたいですよね。

会社の懇親会や慰労会は会社の経費でまかなうことが出来ますが、これも条件があります。

役員を含む従業員全員を対象とする会であること

特定の仲良しグループだけで飲みに行ったり、

残業で残っている人たちだけで「今夜飲みに行くか!」と飲みに繰り出したりした場合は、

福利厚生費として経費にすることは出来ません。

一方、会社の飲み会に乗り気でない人も近年では少なくありません。

「経費にするんだから絶対に来い!」と言われイヤイヤ参加するのでは、まったく慰労になりませんね。。

飲み会の連絡は全員にしたものの、結局参加したのは半分以下、ということもあると思います。

こういった場合でも、福利厚生費として経費に計上することは出来ると考えられます。

金額が概ね一律で世間の常識から考えて高額でなく、一般的な範囲内であること

「いくら以上は高すぎるから福利厚生費とは認められない!」とはっきりした規定がなく、

常識の範囲内とはなんとも曖昧ですが、贅沢はダメということです。

現金支給でないこと

「一人5,000円あげるから、好きな店に行っておいで」はNG。

給料として従業員に税金がかかります。

証拠となる資料を日頃から整えておく

飲食店の領収書やレシートを一生懸命集め、

それさえ保管していれば証拠書類として問題ないだろうと思っている人、結構多いです。

しかし、実はそれだけでは不十分なのです。

会議費や交際費、従業員への食事の補助として経費にする場合は、

レシートの裏に以下のことを記載しておきましょう。

飲食等に参加した取引先の会社名・指名・関係
参加者の人数
その他必要であると判断した事項

まとめ

以上、会社から役員・従業員に食事代を負担してあげる場合に、税金がかからない方法について、

代表的な5つのケースに分けて解説いたしました。

働いてくれる従業員のためと思っていても、後から税金がかかってしまうと分かると後味が悪いですよね。

しっかりと適切な方法で、会社のお金を還元してあげましょう!


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税理士とのコミュニケーション不足は、記帳内容がぐちゃぐちゃになり、誤った経理処理となる要因となります。

その結果、3~5年周期の税務調査において指摘の対象となり、最大40%の追徴課税(追加で税金が取られてしまうこと)のリスクが高まります。

無駄な税金を払わないためには、常日頃、経理処理や経営環境などについて税理士と共有し、追徴課税リスクへの対応策を早期に講じることが大切です。

岩沢将志税理士事務所では、日本一気軽に相談できる税理士を理念に掲げた代表税理士が、経理内容のご相談はもちろん、税務調査対策(税務調査にて指摘が予想される事項を早期にお伝え)、お客様に最適な節税策のご提案等をさせていただいております。

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