こんにちは!東京・三軒茶屋の税理士の岩沢です。
「貯金しながら節税できる」として人気の高い『中小企業倒産防止共済』(通称:経営セーフティ共済)。
しかしせっかく掛金を払い込んでも、「ある書類」を確定申告のときに提出しないと、損金(≒経費)として認められません。
今回は、経営セーフティ共済の内容と、確定申告のときに書くべき書類についてご案内します。
目次-Contents-
倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは?
経営セーフティ共済は、取引先が倒産したときにそれまでの掛金総額の10倍までの金額を無担保・無保証で融資を受けられる制度。
中小企業が次々と倒産していくのを防ぐためにつくられた制度です。
このように本来の目的は会社防衛のための保険のようなものなのですが、以下のようなメリットがあるのです。
掛金(貯めたお金)が全額損金、つまり節税になる
掛金月額は5,000円~200,000円の間で金額変更はいつでも可能。
ただしトータルの積み立て上限額は800万円までなので、大きめの起業にはちょっと物足りないかもしれません。
40か月以上掛金を払えば、解約率100%
生命保険は何十年たっても元本割れしてしまうものがほとんどですが、経営セーフティ共済は3年4か月で元が取れます。
貯金しながら節税するような感覚です。
掛金総額の10倍まで無担保・無保証で借りられる
大きな注意点があるので下の方もご確認ください。
向こう1年分前払いできる
当期が予想以上に黒字となってしまう!何か節税策ないかな。。
そんなときに役立つのが、この経営セーフティ共済掛金の1年分前払いです。
最大月額20万円×12か月の240万円を当期の経費に計上できます。
経営セーフティ共済の注意点
メリットの多い経営セーフティ共済ですが、注意しなければならない点もあります。
解約返戻金は収入になる=税金がかかる
払った金額が損金になって税金が減るのだから、戻ってきたときは税金がかかるのは考えてみれば当然ですね。
生命保険と同じです。
これではただの「課税の繰り延べ」(税金の支払いの先延ばし)だから、やる意味はあまりないのでしょうか?
そんなことはないと思います。
「いつ解約するか」をきちんと計算していれば、税金を少なくすることが出来ます。
赤字の年に解約する
本業の調子が悪かったり、まとまった経費を使ったりすることで赤字となる年に経営セーフティ共済を解約することで、
解約返戻金による黒字と本業の赤字を相殺し、解約による税金を少なくすることが出来ます。
赤字になる年があればいいですが(ない方がいいかもしれませんが笑)、
ずっと本業で黒字が続く場合は解約返戻金にかかる税金は仕方ないのでしょうか?
その場合は、『退職金』の支払いの年に解約しましょう。
退職金は、会社にとっての経費。
退職金の支払いの年に経営セーフティ共済を解約することで、その分の税金を相殺できます。
そのため、経営セーフティ共済を『退職金を貯める口座』として使っている会社も多いです。
退職金を受け取っても、もらった人が個人で税金がかかるのでは?
その通りです。しかし、退職金の税金は非常に軽くなっています。
税金自体が安いだけでなく、給料では額面の約30%がかかっている社会保険料はなんと0円。
詳しくは過去の記事をご覧ください。
※解約返戻金の収入を退職金の経費だけではまかないきれず、本業などの黒字が残る場合は当然税金がかかります。
ただし、これも課税の繰り延べにすぎない
さきほど解約返戻金と赤字を相殺して法人税を少なくするとお伝えしましたが、長期的な視点で見れば節税になるのは限られたケースです。
というのも、法人はその年の赤字を翌年に繰り越して、翌年の黒字と相殺することで税金負担を軽くすることが出来るのです。
※青色申告決算法人に限る。
そのため、赤字の年に解約返戻金とぶつけて法人税負担を減らしても、翌年が黒字だったら普通に法人税がかかります。
一方、経営セーフティ共済をせず、ある年に赤字になったとします。
その年は法人住民税均等割りだけですが、翌年黒字になったとしてもその赤字を繰り越せるので、
実はトータルの税金負担は変わりません。
これを『課税の繰り延べ』といいます。税金支払いの先延ばしという意味です。
では、まったく節税できないのでしょうか?そんなことはありません。
こんなときは節税になります
退職の年に解約返戻金を得てその年の税金負担を減らし、その年に法人を解散するケース。
もしくは、退職から毎年ずっと赤字で解散まで至るケース。
後者はビジネスとして成り立っていないので、論外ですね。
税金の負担をトータルの期間で減らしていくことを考える場合は、しっかりとした計画が必要です。
法人設立後すぐには加入できない
加入資格のひとつに「継続して1年以上事業を行っている中小企業者」が挙げられています。
法人の場合は第2期以降に加入をご検討ください。
借入は実質的に「無利子」ではない!
得意先が倒産したときに、
それまでの掛金総額の10倍までの金額を無担保・無保証で融資を受けられる制度であることをご紹介しました。
経営セーフティ共済は無利子であることを強調する記事も多く見受けられますが、
なんと借入後は、借入額の10%の金額が、払い込み済みの掛金累計額から控除されてしまうのです。
積み立て上限額である800万円まで貯めた会社が、取引先の倒産で8000万円を借りた場合、
8000万円の10%である800万円が掛金累計額から控除され、それまで貯めてきた掛金が吹っ飛んでしまう計算になります。
なので、実質10%の有利子負債であると考えるくらいがちょうどいいのかもしれません。
本来の目的が、スピーディーな融資をすることで中小企業の連鎖倒産を防ぐことにあるのですが、
なるべく経営セーフティ共済で資金の融資を受けることは避け、
日頃付き合いのある金融機関で低利融資を受けた方が良さそうです。
コロナのような緊急時には政府の『実質無利子融資』も用意されるので、そういったものをまず検討しましょう。
必要書類を用意しないと経費にならない!
一番声を大にして言いたいのが、せっかく掛金をきちんと払っていても、
確定申告のときに必要書類を提出しないと経費にならない(=税金が減らない)点です。
書類の内容と書き方を紹介します。
書類名:別表十(七)社会保険診療報酬に係る損金算入~
この書類の下の方の『Ⅲ 特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書』の欄をうめます。
【基金に係る法人名】:独立行政法人中小企業基盤整備機構
【基金の名称】:中小企業倒産防止共済
【告示番号】:入力不要
【当期に支出した負担金等の額】:当期に支出した掛金合計
【同上のうち損金の額に算入した金額】:「保険料」などの科目で計上した金額(通常は上記と同じ)
まとめ
今回は、経営セーフティ共済の内容と、確定申告のときに書くべき書類についてご案内しました。
せっかく掛金をきちんと払っていても、確定申告でたった1枚書類を付け忘れるだけで、経費に出来なくなってしまいます。
お気を付けください!
こんな悩みごとはありませんか?
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- 税理士から節税策など何の提案もない
- 試算表をタイムリーに出してくれない
- 試算表の説明を受けたことがない
- クラウド会計に対応していない
- ほとんど税理士が来てくれない
- 質問しても回答がない、嫌な顔をされる
- 現在の税理士が高齢でこの先が不安
税理士とのコミュニケーション不足は、記帳内容がぐちゃぐちゃになり、
誤った経理処理となる要因となります。
その結果、3~5年周期の税務調査において指摘の対象となり、
最大40%の追徴課税(追加で税金が取られてしまうこと)のリスクが高まります。
無駄な税金を払わないためには、常日頃、経理処理や経営環境などについて税理士と共有し、
追徴課税リスクへの対応策を早期に講じることが大切です。
岩沢将志税理士事務所では、経理内容のご相談はもちろん、
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