給料から天引きされているお金

毎月の給与からは、様々な税金や保険料が天引きされています。この天引き額の計算はなかなか複雑で、各種税金や保険料に専門用語があってとっつきにくいもの。

お給料を受け取る側の人も、自分がどれだけ税金や保険料を負担しているのかを知っておくことは、暮らしのお金を考えるうえで非常に重要です。

今回は、給与から天引きされる各種控除額の計算方法を紹介します。

目次-Contents-

代表的な天引き項目

  1. 源泉所得税
  2. 住民税
  3. 健康保険料
  4. 介護保険料
  5. 厚生年金保険料
  6. 雇用保険料

①源泉所得税

会社員が納める税金の一つである所得税は、「源泉徴収制度」が採用されています。

所得税はその年にいくら稼いだかによって金額が決まりますが、その年すべての給与をもらったあとに所得税を一括で支払うわけではありません。

確定申告が終わった後に一気に税金を全額納付するのは負担感が強いため、月ごとに確実に税金を払ってもらうのが源泉徴収制度です。

この税額表をもとに天引きする所得税は概算なので、年末に所得税の確定額を計算し、それまで納めてきた概算額と調整します。これを「年末調整」といいます。

もし概算額のほうが確定額より低ければ追加で納税する必要がありますが、たいていのケースでは概算額のほうが多いので、年末に還付されます。

「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」をもとに、給与から控除する所得税を計算します。

※源泉徴収税額表の用語の説明

  • 「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」:給与額面(交通費含めない)から③~⑥の各種保険料を引いた金額
  • 「扶養親族等の数」:年末時点で生計を同一にしている、満16歳以上の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)等で、かつ、合計の所得金額が38万円(会社員だと年収103万円)以下の人

②住民税

住民税の支払い方法は2通りあり、通常は会社が給与を払うときに天引きして、翌月に代わりに納付する「特別徴収」という方法が主流です。(もう1つの方法は個人が自分で納付する「普通徴収」。個人事業主は基本的にこちらです。)

住民税の金額は、前の年の所得によって決定されます。

特別徴収の場合、前年の確定申告書をもとに自治体が住民税額を計算し、5月頃に「住民税決定通知書」が送られてきます。ここに6月以降、毎月納付すべき住民税が書かれているので、会社はその金額を給与から天引きし、期限までに納付します。

③健康保険料

所属する健康保険組合によって保険料率は変わりますが、ここでは中小企業が一般的に加盟する「全国健康保険協会(協会けんぽ)」のもとでの保険料率を紹介します。

毎月の給与から天引きされるのは、「標準報酬月額」に保険料率をかけた金額です。

「標準報酬月額」というのは保険料率をかけるもととなる金額のことで、基本給や各種手当・交通費等の合計額をもとに決定されます。通常は入社したときに提出する「被保険者資格取得届」に記載された標準報酬月額や、毎年4~6月の給与をもとに7月に更新算定する「算定基礎届」に記載された標準報酬月額を毎月使うことになりますが、途中に昇給などで給与が一定水準あがった場合は、「随時改定」した標準報酬月額を使うことになります。

保険料率は都道府県ごとに異なり、「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を参考にします。

保険料は労使折半といって、会社と従業員が半分ずつ負担することになります。そのため保険料率9.9%(東京都の場合)を標準報酬月額に乗じた全額を天引きするのではなく、9.9%を乗じた半額を給与から天引きし、残りの半額を会社負担として一緒に納付することになります。

④介護保険料

40歳から64歳までの方は、上記③の健康保険料に加え、介護保険料を負担する必要があります。東京都の場合だと標準報酬月額の1.57%を会社と従業員とで折半して負担します。

算定・納付の方法は③健康保険料と同様です。

⑤厚生年金保険料

保険料の中では最も負担の重い年金。東京都の場合、標準報酬月額の18.3%を労使折半で納付します。

算定・納付の方法は③健康保険料と同様です。

⑥雇用保険料

健康保険・年金保険料は「標準報酬月額」をもとに保険料が算定されますが、雇用保険料は毎月ごとの基本給や各種手当・交通費補助等の合計額の0.3%を従業員が負担します。会社負担分0.6%をあわせ、会社が納付することになります。


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