「今のオフィスが手狭になってきた」、「もっと立地のいいところでビジネスをしたい」。
法人運営を行っていくうえで、事務所を移転することもあるでしょう。
今回は、会社の事務所を移転した場合に必要となる手続を紹介します。
目次-Contents-
定款の変更が必要か?
まず、移転した事務所が本店、つまり主な事務所である場合には、定款の変更が必要になるかを把握します。
定款にはたとえば、「当会社は、本店を東京都千代田区に置く。」のように、本店所在地が記載してあります。
事務所移転後も引き続き千代田区内であれば、定款を変更する必要はありません。
しかし、たとえば東京都江東区へ移転する場合は、
定款の文言を「当会社は、本店を東京都江東区に置く。」と変更しなければなりません。
定款を変更する場合は、株主総会の特別決議が必要
定款を変更するには、株主総会の特別決議が必要になります。
特別決議とは、議決権を行使できる株主の過半数が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成で行う決議です。
本店移転に伴い定款変更が必要なケースでは、移転登記手続きを行う前に、株主総会の特別決議により定款を変更します。
なお、この決議の記録として、株主総会の開催日時・場所、議事の経過と結果、出席した役員の氏名、議長の氏名、議事録を作成した取締役の氏名などを記載した株主総会議事録を作成する必要があります。
取締役会で移転場所や日程を決める
取締役会を開催し、本店の具体的な移転場所及び移転日を決めます。
取締役会を設置していない会社では、取締役の過半数の一致をもって決議を行います。
なお、取締役会の開催日時・場所、議事の経過と結果、出席した役員の氏名、議長の氏名などを取締役会議事録に記録する必要があります。
登記変更の手続きをする
次に、事務所の移転を法務局にて登記します。
この登記の際には以下の添付書類が必要なほか、移転から2週間以内に実施しなければなりませんので、迅速な対応が必要となります。
登記するときに添付する書類
本店移転登記申請書(※)
登記申請書は以下の議事録とは異なり、定められたルールに従って作成する必要があります。
「登記すべき事項」を基本的には「登記・供託オンライン申請システム」にてオンライン上で事前申請し、
完了後に送付される「到達通知」を印刷し、申請書と一緒に提出します。
なお登記申請書には、登録免許税として3万円分の収入印紙を貼付します。
※従来の法務局とは管轄が別になる場合、新旧の管轄に対する申請書が必要となります。
また、登録免許税の合計額は倍の6万円になります。
株主総会議事録
本店移転に伴い定款の変更が必要なケースでは、上記で作成した株主総会議事録を添付します。
取締役会議事録(または取締役の過半数の一致を証する書面)
取締役会の決議で本店の場所を定めた場合には、上記で作成した取締役会議事録を添付します。
移転先の法務局の管轄を確認する
移転前と後とで、法務局の管轄が同じであれば上記の添付書類で足ります。
しかし、移転後の法務局が別の管轄となる場合、旧本店所在地・移転先の所在地の2つの法務局に対しての申請が必要です。
なお、手続き自体は旧本店所在地の法務局にて同時に行うことができますが、
本店移転登記申請書は両者宛の分を作成するほか、登録免許税も両者に納付するため、合計6万円となります。
各役所への届出
移転登記が完了したら、次は以下の役所への届出が必要になります。
- 税務署
- 都道府県税事務所
- 市町村役場
- 労働基準監督署
- ハローワーク
- 年金事務所
まとめ
以上が本店移転をしたときの手続の流れとなります。
取締役会や株主総会の開催に始まり、登記の変更、各役所への届出と、必要な手続は多岐にわたります。
引っ越しはなにかとバタバタしがちですが、余裕をもって手続を済ませたいですね。
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